平成26年度都立日比谷高等学校グループ作成問題(作成:進学指導重点校グループ作成委員会)第4問


空間図形の問題です。問題文のボリュームがここ数年で一番大きいですね。まあそれ自体は大した事ではないのですが、最後の体積を求める問題はここ数年でもトップレベルに難しいのではないでしょうか。
それでは問1から見ていきましょう。

これは図を見れば垂直な辺もすぐに見抜けますし、簡単な問題ですね。三角形を取り出して、三平方の定理を利用するだけです。日比谷を目指すなら、これは落とせない問題です。
それでは次に問2です。

立体に対して三角形が微妙に斜めになっていて高さがイマイチよくわからないな~。まずはそれくらいのイメージで大丈夫です。空間図形の苦手な生徒だと「底辺がJCで、高さはABと同じ4㎝かな」なんて言ってしまいそうですが、面FJCDを意識すれば4㎝はないなとわかるはずです。
高さがわからないので、まずは3辺の長さをはっきりさせます。直角三角形を見つけ出し、三平方の定理を使って求めて下さい。上の解答で利用した直角三角形以外でも大丈夫ですが、計算しやすいものを選びましょう。√の中身をそのままにしているのは、この三角形が直角三角形だったらいいなと思っているからです。
三平方の定理が成り立つかどうかを考えるときにどうせ√を2乗するので、それなら下手に2√6と直しても二度手間ですからね。こういう工夫も覚えておきましょう。無事、直角三角形であることがわかればあとは簡単ですね。問1と違い図からは直角だとは中々わかりにくいですね。
それでは最後に問3です。

さあ、これは難しいですよ。まずは図に線を書き込んで立体を認識して下さい。そして面と面の位置関係を探り、底面や高さはどこにしようかなと考えるのが定石ですね。しかしこの四面体のどの2面も垂直になっていない。
どこを底面にしても高さを求めるのは難しそうだな、となります。では元の大きな立体から必要ない立体を引いていくパターンかとなるのですが、これも相当面倒そうですね。ここまでで手詰まりになる方も多いと思いますが、体積の問題では「立体を分割して求める」というパターンも頻度は低いながらもあります。
分割のパターンであるとすぐにわかる必要もないですが、立体の状態をもう少し詳しく探る為に真上から見た図を書いてみました。この時点で∠DTS=90°を見抜けることと、それならこの面で分割すれば高さがわかる、と気付くこと。この2つに全てはかかっています。
それさえ見抜ければ解答のような流れで、大して面倒な計算もなく正解まで辿り着けるのですが、限られた時間内にそこに気付ける生徒はどれだけいるでしょうか。例年の日比谷の平均点を考えても、この問題は合格者もほとんど解けていないような気がします。
<総評>勝負の分かれ目という意味ではむしろ問2かと思います。問3は問題としては面白いので、数学の得意な生徒が1時間でも2時間でも集中して取り組むのに適していますね。テストという枠に限って言えば、捨ててもいい問題なのかもしれませんが、そんな目線でしか問題を見れないのは寂しいことだと思います。難しい問題も楽しみましょう。